おしりをこする、は要注意?肛門嚢について|鶴ヶ島にある動物病院|カインズ鶴ヶ島店2F

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おしりをこする、は要注意?肛門嚢について

スタッフブログ 

最近、当院では「お尻が腫れている」「お尻から血や膿が出てきた」と来院される犬や猫が増えています。

診察してみると、肛門の左右にある「肛門嚢(こうもんのう)」に炎症が起こり、膿がたまっていたり、肛門嚢が破裂して皮膚に穴が開いてしまっている子もいました。

肛門嚢炎は、珍しい病気ではありません。

しかし、破裂するほど炎症が進んでしまうと痛みを伴うこともありますし、舐めないようにエリザベスカラーが必要になるなど、動物にとっても飼い主さんにとっても負担になります。

繰り返す場合は手術が必要になることもあります。

今回は、そんな肛門嚢炎についてお話しします。

【そもそも「肛門嚢」って何?】

肛門嚢は、肛門の左右にある袋状の器官です。

中には独特のにおいのする分泌物が入っていて、排便時などに圧迫されることで内容物が排出されます。

診察中にすごくびっくりしたり怖かったりすると、ピュッと液体が出てしまう子もいます。

よく「肛門腺」と呼ばれていますが、正確には分泌物がたまる袋を「肛門嚢」と呼びます。

健康な犬や猫では、排便時に自然に内容物が排出されることも多いため、すべての子に定期的な肛門嚢絞りが必要というわけではありません。
ここは意外と大切なポイントです。

「犬は毎月肛門腺を絞るもの」と思っている方も多いのですが、自然に排出できている子であれば、必ずしも定期的に絞る必要はありません。
お尻を少し強めに絞るので、必要がないのに頻繁に絞ることはその子にとって負担になってしまう場合もあります。

【なぜ肛門嚢炎になるの?】

肛門嚢の内容物がうまく排出されず、内部にたまってしまうことが肛門嚢トラブルのきっかけの一つです。

しかし、単純に「肛門腺がたまったから」というだけではありません。

肛門嚢疾患には、

・軟便や下痢
・便秘
・肥満
・小型犬などの体格や犬種
・肛門嚢の形態や分泌物の性状
・皮膚疾患やアレルギー
・そのほかの体質

など、さまざまな要因が関係すると考えられています。

つまり、肛門嚢炎を繰り返すからといって、「もっと頻繁に肛門腺を絞ればいい」とは限らないのです。

肛門嚢炎について考えるときに、ぜひ知っておいてほしいのが「皮膚との関係」です。

肛門嚢炎を起こしている犬では、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患を併発しているケースが比較的多いことが報告されています。

また、皮膚のアレルギー疾患を持つ犬では、肛門嚢炎を繰り返しやすいという報告もあります。

そのため、

「肛門腺がすぐたまる」
「何度も肛門嚢炎になる」
「肛門嚢炎と一緒に耳や皮膚もかゆがる」

という場合には、肛門嚢だけを見るのではなく、皮膚の状態やアレルギー、便の状態なども含めて考える必要があります。

関連して、食物アレルギーの子は便が緩く、回数が多くなることがあります。

しかし、愛犬や愛猫の便が緩いことに気付いていない飼い主さんも多くらっしゃいます。

病院には糞便スコアという便の硬さを判断するシートがありますので気になる方はスタッフまでお声がけください。

つまり、肛門嚢炎を繰り返している子の中には、実は「肛門腺の問題」だけではなく、その背景に別の病気や体質が隠れていることがあるのです。

【こんな症状があったら注意】

肛門嚢に問題があると、必ずしも最初から「お尻が腫れる」「膿が出る」というわけではありません。
初期には、
・お尻を床にこする
・肛門周辺をしきりになめる
・お尻を気にする
・しっぽを追いかけたり、しっぽの付け根を気にする
・排便を嫌がる
・座ることを嫌がる
・肛門周辺を触ると嫌がる

などの変化が見られることがあります。

さらに炎症が進むと、肛門の横が赤く腫れたり、熱を持ったり、痛がったりするようになります。

そして、膿がたまって袋の中の圧力が高くなると、皮膚が破れて膿や血液が出てくる「肛門嚢破裂」を起こすことがあります。

ここまで進むと、見た目にもかなり痛々しい状態になります。

この時点で気付いて来院されるケースがほとんどです。

肛門嚢が破裂すると、治療も大変です

肛門嚢炎や肛門嚢破裂の治療では、状態に応じて肛門嚢の内容物を排出したり、洗浄したり、薬剤を使用したりします。

しかし、炎症が強いと肛門周囲は非常に敏感になっているため、処置そのものが痛みを伴います。

動物が傷をなめたり気にしたりする場合には、エリザベスカラーが必要になることもあります。

「お尻がちょっと気になるだけだったのに、病院で痛い処置を受けることになってしまった……」

ということにならないためにも、早めに異変に気づいてあげることが大切です。

 

【定期的に絞れば予防できる?】

これは、すべての子に当てはまりません。

肛門嚢炎を予防するために、肛門嚢絞りが必要な子もいます。

実際に、肛門嚢の内容物が自力で排出できず、何度も貯留してしまう子では、定期的な処置が有効な場合があります。

ですが、自然に排出できている子まで、全員が定期的に絞らなければいけないわけではありません。

大切なのは、「その子に本当に必要なのか」を判断することです。

実際に我が家の犬は一生のうちに一度も絞ることはありませんでしたが、肛門嚢炎になったことはありません。

おそらくトリミングに行かない犬や猫は絞ったことがない子の方が多いと思います。

逆にトリミング後にお尻を気にして受診する子もいるため、負担になっているケースもあります。

肛門嚢を絞ってもすぐにたまる、何度も炎症を起こす、皮膚のかゆみや外耳炎なども繰り返している、

といった場合には、単純に肛門嚢を絞る回数を増やすのではなく、便の状態や皮膚疾患など、ほかの原因がないかを確認することも重要です。

【お家でできること】

まずは、普段からお尻の様子をよく観察してあげてください。

「最近、お尻を床にこすることが増えた」
「お尻をなめるようになった」
「排便のときに嫌がる」
「肛門の横が赤い、腫れている」
「いつもと違うにおいがする」

など、ちょっとした変化でも肛門嚢のトラブルが隠れていることがあります。
また、便が急に軟らかくなったり、下痢が続いたりしていないか、皮膚や耳をかゆがっていないかなども一緒にチェックしてみましょう。

肛門嚢炎を繰り返す子では、「肛門腺を絞る」だけではなく、便や皮膚の状態を見直すことで、再発を減らせる可能性もあります。

【まとめ】
肛門嚢炎は身近な病気ですが、ひどくなると肛門嚢が破裂し、強い痛みを伴うことがあります。

そして、肛門嚢のトラブルは「たまったから絞ればいい」という単純なものではありません。

便の状態や体型、犬種、肛門嚢そのものの特徴、そして皮膚疾患など、さまざまな要因が関係している可能性があります。

特に何度も繰り返す場合には、肛門嚢だけでなく、その子の体全体を見て原因を探していくことが大切です。

また、肛門嚢が自然に排出できている子には、必ずしも定期的な肛門腺絞りが必要なわけではありません。

「うちの子も絞ったほうがいいのかな?」と気になる場合は、診察の際にご相談ください。

お尻を気にする、腫れている、出血や膿があるなどの症状がある場合には、様子を見すぎず、早めの受診をおすすめします。

痛みが強くなってしまう前に気づいてあげることが、何よりの負担軽減につながります。

 

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